仰(あお)いでは天に対して恥ずかしいと思うことがなく、俯しては人に対して恥ずかしいと思うことがない。
自己を反省してみて少しもやましい所のない、公明正大な心を言います。
出典は『孟子』盡心上です。
孟子(モウシ)の云う、君子の三つの楽しみです。
① 父母兄弟が健在であること
② 天に恥じるような行ないはしない
③ 天下の秀才を教育すること
をいうようです
孟子曰、君子有三楽、而王天下、不与存焉。
孟子曰く、君子に三楽有り、而(しか)して天下に王たるは、与(あずか)り存(ソン)せず。
孟子が言いました。君子に三つの楽しみがあるが、
しかし天下の王として君臨することはこの中には、入っていない。
① 父母俱存、兄弟無故、一楽也。
父母倶(とも)に存し、兄弟故(こと)無きは、一楽なり。
父母がともに健在で、兄弟に事故がないのは、第一の楽しみである。
② 仰不愧於天、俯不怍於人、二楽也。
仰(あお)いで天に愧(は)じず、俯して人に怍(は)じざるは、二楽なり。
見上げては天にやましく思うことがなく、うつむいては人にやましく思うことがない
のは、第二の楽しみである。
③ 得天下英才、而教育之、三楽也。
天下の英才を得て、之を教育するは、三楽なり。
天下の優れた人物を弟子にして、教育するのは、第三の楽しみである。
君子有三楽、而王天下、不與存焉。」
君子に三楽有り、而して天下に王たるは、与り存せず、と。
君子には三つの楽しみがあるが、天下の王として君臨することはこの中には、入っていない。