周囲がみな反対者で、まったくの孤立状態に陥ること。味方がいない状態。孤立無援。
出典は『史記・項羽本紀』です。 劉邦と項羽の最後の戦いである、「垓下(ガイカ)の戦い」において項羽は劉邦軍に周囲を囲まれてしまいます。
項王軍壁垓下。
項王の軍、垓下(ガイカ)に壁(ヘキ)す。
項王の軍は垓下に立てこもった。
兵少食盡。
兵、少(すくな)く食尽(ショクつ)く。
兵は少なくなり、食物は尽きた。
漢軍及諸侯兵圍之數重。
漢軍及び諸侯の兵、之を囲(かこ)むこと数重(スウチョウ)なり。
漢軍と諸侯の兵は、これを幾重にも取り囲んだ。
夜聞漢軍四面皆楚歌、項王乃大驚曰、
夜、漢軍の四面に皆楚歌するを聞き、項王乃(すなわ)ち大いに驚きて曰く、
夜になって、漢軍が回りで楚の歌を歌うのを聞いて、項王は大いに驚いて、
漢皆已得楚乎。
漢、皆(みな)已(すで)に楚を得たるか。
漢は既に楚を得たのか。何と楚の人が多いことか。
是何楚人之多也。
是(こ)れ何ぞ楚人(ソひと)の多きや、と
なんと敵軍の中に楚の国の兵が多いことだろう