耳にはいつも聞きづらい忠言を聞く、この心がけを忘れてはならない、という意味です。
耳中常聞逆耳之言、
耳中、常に耳に逆らうの言を聞き、
耳にはいつも聞きづらい忠言を聞き、
心中常有払心之事、
心中、常に心に払(もと)るの事あらば、
心にはいつも思い通りにならないことがあったならば、
纔是進徳修行的砥石。
纔(わず)かに是れ徳に進み、行いを修むるの砥石(といし)なるのみ。
それではじめて人間を徳に進ませ、
行いを修めさせることのできる砥石のような役割を果たすものとなるだけである。
若言言悦耳、事事快心、
若(も)し言々(ゲンゲン)耳を悦ばし、事々心に快(こころよ)くば、
もし、言われる言葉がすべて快く耳に聞こえ、
物事がすべて心に満足するようなら、
便把此生埋在鴆毒中矣。
便(すなわ)ち此(こ)の生を把(と)りて鴆毒(チンドク)の中に埋在(マイザイ)せん。
そんなことではこの人生を自分で猛毒の中に投げ沈めてしまうようなものである。