【功を論じ賞を行う】と訓読みされます。
功績の有無やその大きさを調べて、それに応じた賞を与えることを表す四字熟語です。
【論】は、「言+侖」から出来た形声文字です。「侖」は順序を追って連なるものを言います。
【功】は、「工+力」から出来た形声文字です。「工」は工作の器具の形で、「力」はパワーの意味ではなく、
農具の耒(すき)を表しています。
【功】は農耕のことだけでなく、すべての作業や務めにおいて成果のあることを
言うようになりました。
【行】は、十字路の形で、大きな道が交叉している形です。それで「いく、ゆく」の意味になりました。
【賞】は、「尚+貝」から出来た形声文字です。ほうびとして貝(大昔は貴重品)を与えたことから、
「たまう」の意味となりました。
【論功行賞】が四字熟語としてでてくる例が三国志の『魏志・明帝紀』にあります。
226年魏の文帝が逝去し、息子の曹叡(ソウエイ)が明帝として後を継ぐことになりました。
即位して3カ月後、呉の将軍・諸葛瑾(ショカツキン:諸葛孔明の兄)、張霸(チョウハ)が魏に侵略してきました。
撫軍大將軍 司馬(懿)宣王 撫軍(ブグン)大將軍の司馬懿(シバイ)は
討破之 斬霸(張霸)。 之を討ち破り 張霸を斬る。
征東大將軍 曹休 征東(セイトウ)大將軍の曹休(ソウキュウ)は
又 破其別將 於尋陽。 また 其(その)別將を尋陽(ジンヨウ)に破る。
論功行賞 功を論じ賞を行うに(その恩賞に)
各有差 おのおの差有り。
【論功行賞】では、最後の「おのおの差有り」が歴史上常に問題を生じています。