辛く苦しい経験は、人の心を強くする、という意味です。『言志晩録』205条
艱難は能く人の心を堅うす。
辛く苦しい経験は、人の心を強くする、
故に共に艱難を経(へ)し者は、
だから一緒に艱難を経験してきた者は
交(まじわり)を結ぶも亦密にして、
交りを結ぶことも緊密で、
竟(つい)に相忘るる能(あた)わず。
いつまでも互いに忘れられないようになる。
糟糠(ソウコウ)の妻は堂より下さず、とは、
酒の糟(かす)や、米の糠(ぬか)をなめて共に苦労した妻は、
出世してからは堂より下さず大切にする、とは
亦此の類なり。
この類(たぐい)の話である。