【折角】という言葉は、実現をめざして骨を折ったりする様子を表す言葉として、いろんな表現に使われます。岩波『国語辞典』による解説です。
①努力して動作をする様子。
自分が骨を折ること。 折角の努力が無になった。
相手の努力に感謝すること。 折角来てくれたのに留守にして申し訳ない。
②努力の効果が失せるのを残念がること。
自分にとって大切なこと。 折角の休日なのに、雨に降られた。
他人の申し出を断る時のお詫びに、 折角ですが、お断りさせていただきます。
ところが、【折角】の原義は「高慢な人をやり込めて、得意の鼻を圧(へ)し折ってやった」です。
出典は『漢書』朱雲伝。
前漢の元帝(B.C.49~B.C.33)は易経の梁丘賀(リョウキュウガ)の説を好み、御用学者の
五鹿充宗(ゴロクジュウソウ))に、他の学派と議論させ異同を考察しようとしました。
五鹿充宗は、他派の学者をことごとく論破し、他の学者は彼に対抗するのを嫌がり、病気と
称して誰も出てこなくなりました。
そんなある日、元帝に朱雲を推挙する者がいました。朱雲は堂々と五鹿充宗を論破しました。
五鹿嶽嶽,朱雲折其角
五鹿、嶽嶽(ガクガク)たり,朱雲、其の角(つの)を折る。
五鹿は、傲慢であった、朱雲が(五鹿の長い)角を圧し折った。