自分の性格をなおして、人格を磨こうという戒めの言葉です。
【韋】は柔らかいなめし皮をいいます。
参考までに、皮(毛がわ)→韋(なめしがわ)→革(かわ製品)と変化します。
【弦】はぴんとした弓づるのことです。
【佩】は帯びること、身につけることです。
【韋佩之弦】は、【佩韋佩弦:ハイイハイゲン】とも言われています。
【佩韋:ハイイ】は、なめし皮を身につけて短気で頑なな性格を変え、
【佩弦:ハイゲン】は、ぴんとした弓づるを身につけて、のんびりした性格を変えようとすることです。
出典は『韓非子』の観行(カンコウ)篇です。
魏の文侯(ブンコウ:前五世紀末の人)の臣下『西門豹(セイモンヒョウ)』と、
趙簡子(チョウカンシ:前五世紀初の人)の臣下『董安于(トウアンウ)』を例に出して記述されています。
西門豹の性(セイ)は急なり、
西門豹という人は、その性質が短気であったので、
故に韋(イ)を佩(お)びて以て己(おのれ)を緩(ゆる)くす。
なめしがわの紐(柔らかく緩やかな物のしるしとして)を身に付けて、常に自分の性質を
穏やかにするように務めました。
董安于の心は緩(カン)なり、
董安于という人は、その気持ちが悠長に過ぎたので
故に弦を佩びて以て自(みづか)ら急にす。”
弓弦(ピンと張り切るもののしるしとして)を身に付けて常に自分の性質を緊張させるように
務めました。
彼の国にも、昔は立派な人がいたんですね。