【至れり尽くせり】は、配慮・接待などが非常によく行き届くこと、を言いますが原義はそうではありません。
『荘子』齊物論によりますと、『昔の人の知恵は、到達したところがあって、はじめから一切の物は存在しない、とするのが最高の到達点であって、究極のところまで至っており、すべてを尽くしている】とするものです。
原義では、物事が究極のところまで到達しているということでの【至れり尽くせり】であり、それ以上はない。
古之人,
古(いにしえ)の人は、
昔の人は、
其知有所至矣。
其の知に至(いた)る所あり。
その英智に最高のゆきついた境地があった。
惡乎至。
悪(いずく)にか至(いた)る。
そのゆきついたところとはどこか。
有以為未始有物者。
以て未(いま)だ始めより物あらずと為(な)す者あり。
もともと物などはないと考える(無の)立場である。
至矣,盡矣,
至れり尽くせり、
至高であり完全であって、
不可以加矣。
以て加(くわ)うべからず。
それ以上のことはない。