書物は繰り返し熟読することによって、その意味内容が理解されることを表す。
『三国志』魏志・王肅(オウシュク)伝の注を出典としています。
三国時代(A.D.220~280)、魏の、今で言う財務大臣にあたる董遇(トウグウ)が、その弟子に教えた勉強法です。
人有從學者。遇不肯敎而云、
人、従い学ぶ者有り。遇(グウ:董遇のこと)、肯(あ)へて教へずして云う。
董遇は、弟子に最初から教えようとせず、
必當先讀百遍。
必ず当(まさ)にまず読むこと、百遍なるべし、と。
まず自分で書物を熟読しなさい。何度も何度も意味が解るまで読みなさい。
言讀書百遍而義自見。
言ふ、読書百遍にして義自(おの)ずから見(あら)わる。
百回読めば自然に理解できるようになる。
【読書百遍】を言われたお弟子さんが、私には百回も読む暇などありませんと言いました。
すると董遇は「暇がないことはないでしょう。三余(サンヨ:三つの余暇)にしなさい」と言いました。
三余とは何ですかとの問いに、
三余とは
1)一年の余りである 冬。(冬は農作業が忙しくない季節であるから)
2)一日の余りである 夜。
3)時刻の余りである 雨降り。
と答えました。