教養人たる君子は、真理の道を求めることに心を砕くが、俸禄が得られなくて貧しくなることは、
すこしも心配しないものだ。『論語』衞霊公第十五
子曰、
子日く、
孔子が言いました、
君子謀道不謀食。
君子は道を謀(はか)りて食を謀らず。
教養人たる君子は、いかにして真理の道を会得しようかと苦心するが、
いかにして食い扶持を得るかについては、あまり考えない。
耕也餒在其中矣。
耕(たがや)して餒(うえ)其の中に在り。
食い扶持を最優先して農耕に従事しても、
必ずしも常に職が得られると限ったものではなく、
かえって飢饉に見舞われて飢えるという結果になることもあるだろう。
學也禄在其中矣。
学(まな)べば禄(ロク)其の中に在り。
しかし、学問をして道を学べば、道はきっと得られるのみでなく、
おのずから俸禄も得られるようになるからである。
君子憂道不憂貧。
君子は道を憂えて貧しきを憂えず。
だから教養もある君子たる者は、真理の道を求めることに心を砕くが、
俸禄が得られなくて貧しくなることは、すこしも心配しないものだ。