酒は穀物を構成している物質のエッセンスである。『言志録』54条
酒、穀気之精也。
酒は穀気(コクキ)の精なり。
酒は穀物を構成している物質の精髄である。
微飲可以養生矣。
微(すこ)しく飲めば以て生を養う可(べ)し。
これを少し飲む分には、養生によい。
過飲至於狂酗、
過飲して狂酗(キョウク)に至るは、
飲みすぎて、気が狂ったようになるのは、
是因藥發病也。
是れ薬に因(よ)って病を発するなり。
薬によって発病するようなものだ。
如人蔘・附子・巴豆・大黄之類、
人蔘、附子(ブス)、巴豆(ハズ)、大黄(ダイオウ)の類の如きも、
人蔘(チョウセンニンジン)、
附子(ブス:トリカブトの根)、
巴豆(ハズ:トウダイグサ科ハズ属の植物)、
大黄(ダイオウ:タデ科ダイオウ属の植物の根茎)の類も、
多服之、必致瞑眩。
多く之を服すれば必ず瞑眩を致す。
多く服用すると、必ずめまいを生ずる。
飲酒発狂亦猶此。
酒を飲んで発狂するも亦猶(な)お此(か)くのごとし。
酒を飲んで発狂するのも、この類である。