間違いを間違いと認めず、押し通すこと。また威圧的に間違いを押し付ける意味も持ってます。『史記』秦始皇本紀
始皇帝に仕えていた趙高は、権力欲の塊のような人物です。胡亥は二世皇帝でまだ若く、しかも、
趙高は胡亥の教師でもあったので、胡亥は趙高に頭があがりませんでした。
以前から謀反を起こそうと考えていた趙高は、群臣がおのれの意に従わないのではないかと
心配して、験(ため)してみようと思い、鹿を二世皇帝に献じて言いました。
曰馬也。
曰く馬なり。
これは馬です
二世笑曰、丞相誤邪。謂鹿為馬。
二世笑ひて曰く、丞相誤れるか。鹿を謂ひて馬と為す。
皇帝は笑って言いました。丞相(ジョウショウ)は何を言っているのだ、
鹿を指して馬だといったりして。
問左右
左右に問ふ。
そして左右の者に尋ねました。
左右或默、或言馬、以阿順趙高、或言鹿。
左右或(あるひ)は默し、或は馬と言ひ、以て趙高に阿(おもね)り順(したが)ひ、或は鹿と言ふ。
家臣らは、おし黙る者あり、中には趙高に阿(おもね)って馬という者もいたが、
鹿と言ったものもいた。
高因陰中諸言鹿者以法。
高因りて陰に諸々の鹿と言ひし者に中(あ)つるに法を以てす。
趙高は鹿と言った者を法に引っ掛けてひそかに陥れた。
後群臣皆畏高。
後群臣皆高を畏る。
その後、群臣は趙高を恐れしたがった。
これが「馬鹿」の語源です、と言う人もいますが、どうでしょうか。
「馬鹿」をバカと言うのは、日本だけです。「鹿」を「か」と読むのは訓読みです、音読みは「ロク」です。
「中国では日本でいう意味の『馬鹿』ということばは、かつて使われたことがない。とも言われていますので。
サンスクリット語で「無知」を表す「バカ」と言う言葉が語源のようです。それを漢字表記すると「莫迦」となりまして、「馬鹿」は日本での当て字と言われています。