人はだれでも、自ら反省し考察してみる必要がある。そうして、自分が生きているのではなく、生かされているのである。ということを悟りなさい。と佐藤一斎先生は、暗に仰っています。
人須自省察。
人は須(すべか)らく自ら省察すべし。
人は誰でも、次のことを反省し考察してみる必要がある。
天何故生出我身、
天、何の故にか我が身を生出(うみいだ)し、
天はなぜ自分をこの世に生み出だし、
使我果供何用。
我れをして果して何の用にか供せしむる。
何の用をさせようとするのか
我既天物、
我れ既に天の物なれば、
自分は天(神)のものであるから
必有天役。
必ず天の役(ヤク)あり。
必ず天職がある。
天役弗共、
天の役共せずんば、
この天職を果たさなければ、
天咎必至。
天の咎(とが)必ず至らむ。
天罰を必ずうける、と。
省察到此。
省察して此(ここ)に到れば
ここまで反省、考察してくると、
則知我身之不可苟生。
則ち我が身の苟(いやし)くも生く可(べ)からざるを知らむ。
自分はただうかうかとこの世に生きているだけではすまされないことがわかる。