黒は黒、白は白と、はっきりしていること。是非・善悪・清濁などの区別がはっきりしていること、を表す四字熟語です。
【黒白(コクビャク)分明】とも【白黒(ハッコク)分明】ともいいます。
【黒】は、元の字は「黑」。「柬+火」から出来た会意文字です。「柬」は袋の中に物が入っていて
それを下から火を加え、袋の中のものが焦げて黒くなる、或いは黒い粉末にするという言う意味を
持たせて作られ、そこから「くろい」を表す字になりました。
【白】は、白骨化した頭蓋骨の形を表した字です。象形文字です。
【分】は、「八+刀」の組み合わせによる会意文字です。「八」は左右にものが分かれる形ですから、
「刀」で物を二つにわけることを表す字が「分」です。
【明】は、元の字は「朙」。「囧+月」から出来た会意文字です。「囧」は窓の形です。
窓から月明かりが入り込むことから出来たのが「明」です。
中国前漢時代の儒学者董仲舒(トウチュウジョ:B.C.176?~B.C.104?)の『春秋(シュンジュウ)繁露(ハンロ)』という書物に【黒白分明】が四字熟語として出ています。
【黒白分明】にして、然(しか)る後に民(たみ)、去就(=進退)する所を知る
また、前漢後期の11代成帝(セイテイ)のとき丞相(ジョウショウ:≒首相)にまでなった薛宣(セツセン)は才能もあり清廉潔白の士でもあったことが『漢書』薛宣伝に【白黒分明】の四字熟語を用いて記載されています。
(薛)宣、数(しばしば)政事の便宜を言い、
薛宣は、しばしば政事の利益を主張し
部の刺史、郡国の二千石を擧奏す。
管轄している刺史(州の長官)や、郡国の二千石を挙げて上奏しました。
貶退(ヘンタイ)称進(ショウシン)する所、【白黒分明】なり。
そのけなし退け、ほめ進める場合、是非善悪の区別がはっきりしている。
是に繇(よ)りて名を知らる。
これによって薛宣は、名を知られるようになりました。
わが国を取り巻く領土問題、すべてが「黒白分明」。
それにしても、儒学を捨て、道徳心を失ったかの国はこのまま荒廃していくのか…。
残念だが、一部の暴徒の行為にせよ、孔孟を先人に持つ国とはとても思えない。
あ~そうか、1949年から別の国になってたんだ。