人生での幸福は、事件だとか面倒な問題だとかが、少ないというのが一番の幸福ということです。『菜根譚』前集50條
福莫福於少事、
福(さいわい)は事少なきより福(さいわい)なるはなく、
人生の幸福は、事件が少ないことより幸福なことはなく、
過莫過於多心。
禍(わざわい)は心多きより禍(わざわい)なるはなし。
また、不幸なことは、あれこれと心配事が多いことより不幸なことはない。
唯苦事者、
唯(た)だ、事に苦しむ者のみ、
ただ、日頃あれこれと苦労している人だけが、
方知少事之為福、
方(はじ)めて事少なきの福たるを知り、
何だかんだと面倒なことがない、平穏無事なことが幸福だと知り、
唯平心者、
唯(た)だ心を平かにする者のみ、
そして、心穏やかにすることを心がけている人にして、
始知多心之為過。
始めて心多きの禍たるを知る。
始めて、何だかんだと面倒なことがあることこそ、不幸なことだと知ることになる。