軽はずみに何も考えずに行動すること。
善悪の区別もつかず、またその結果がどうなるのかも考えずに軽はずみに動くこと。
【軽】は、輕が元の字、車+巠(音符号)からできた形声文字です。
【挙】は、擧が元の字、與と手を組み合わせた会意文字です。
與は与(二本の象牙を組み合わせた形)を四本の手で支える形で、協力して持ち運ぶの
意味です。それに更に手を加えて与を高く持ち挙げるのが擧です。
【軽擧】は、① 軽やかに高い所へ上がる。転じて、天に昇って仙人になること。また、隠遁すること。
② かるがるしく行動する。かるはずみな行ない。
【妄】は、女+亡(音符号)からできた形声文字です。
【動】は、力+重(音符号)からできた形声文字です。
【妄動】は、①むやみな行動。
②理非をわきまえない行ない。あとさきを考えない無分別な行動。
【軽挙妄動】は、【軽擧】の②と、【妄動】の②という類似の意味を持った熟語を二つ重ねて、
分別の無い軽はずみな行動を強調している四字熟語です。
この四字熟語が、使われるときは【軽挙妄動を慎(つつし)む】というように戒めの言葉として用いられるのが多いようです。
中国古典では、【軽擧】、【妄動】バラバラに出てきます。四字熟語としては 見つかりませんでした。
【軽擧】の例は『韓非子』難四篇にあります。
明君は怒りを懸(か)けず。
そもそも明君は家来に対する怒りを公(おおやけ)にしてはいけない。
怒りを懸くるときは則ち臣罪を懼(おそ)れ、
そうしていると、その家来が罪を恐れて、
【軽擧】して以て計を行はば、
かるはずみな行動に出て、自分の企(たくらみ)みを実現するならば、
則ち人主危(あやう)からむ。
君主が危険な目に会う。
【妄動】の例は『戦国策』燕卷にあります。
今大王、秦に事(つか)へば、秦王必ず喜びて、
もし今、大王が秦にお仕えになれば、秦王はきっと喜ぶに違いなく、
趙敢て【妄動】せざらん。
趙は決して自分勝手に動いたりしません。