言い逃れの言葉については、その人の心が行き詰まっての苦しまぎれの状況にあることを知る。
公孫丑(孟子の門人)が『他人の言葉をよく判断する』とはどういうことかを、孟子に聞いた時の答えの一つです。『孟子』公孫丑上
何謂知言。曰、
何をか言を知ると謂う。曰く、
『他人の言葉をよく判断する』 というのは、どういうことですか。
(孟子が)言いました、
詖辭知其所蔽、
詖辭(ヒジ)は其の蔽(おお)わるゝ所を知り、
かたよって正しくない言葉は、その話し手が隠そうと思っていることを知ることができる。
淫辭知其所陷、
淫辭(インジ)は其の陷(おちい)る所を知り、
でたらめな言葉については、その話し手の心がとらわれているところを知ることができる。
邪辭知其所離、
邪辭(ジャジ)は其の離るゝ所を知り、
よこしまな言葉は、それが道理からどれだけ離れているかを知ることができる。
遁辭知其所窮、
遁辭(トンジ)は其の窮(きわ)まる所を知る。
言い逃れの言葉については、話し手が苦しまぎれの状況にあることを知ることができる。
生於其心、害於其事、
其の心に生(おこ)れば、其の事(しごと)を害し、
こういったよくない言葉を発する心があるとき、その者の行動にも弊害を及ぼす。
發於其政、害於其事、
其の事に發(はっ)すれば、其の政を害す。
その者の行動に弊害が現れてくると、その人が政治にたずさわると害悪をなすことに成る。