つまらない者たちがこぞって集まり、あれこれ人の噂などを盛んに言い合うことを表す四字熟語です。
【邑】は、「囗+巴」からできた会意文字です。「囗」は村の囲い、「巴」は跪(ひざまず)いている
村人を表し、合わせて「みやこ」「まち」「むら」を表す字となりました。
【犬】は、イヌの形を象(かたど)った象形文字です。
【群】は、「羊+君」からできた形声文字です。「君」は音符号です。部首は「羊」です。
羊が群れをなす様子からできた字です。「君」と「羊」を縦にならべた「羣」が正字です。
【吠】は、「口+犬」からできた会意文字です。「ほえる」の意味があります。
【邑犬群吠】は、『楚辞』九章に、屈原(B.C.343~B.C.277)の作った「懐沙(カイサ)の賦(フ)」の中に
出ています。
清廉なるが故に、謂われなくも追放され、汨羅に身を投じることになった屈原の辞世の賦が、沙石を懐いて投身するという意味の「懐沙の賦」です。
誰が清潔の身に汚れた垢など受けようか。それより揚子江の流れに身を投げて、魚の腹中に葬られた方がましだ。節操を守り、義に死するだけである。
屈原のこの生きざまを由(よし)として、司馬遷は『史記』屈原伝にこの「懐沙の賦」だけを載せています。
邑犬(ユウケン)の 羣(むら)がり 吠(ほ)ゆるは 、怪(あや)しむ所に 吠 ゆるなり 。
村の犬たちが群がって吠えるのは、見慣れない者を怪しんで吠えるのである。
俊(シュン)を非(そし)り 傑(ケツ)を疑うは 、固(もと)より 庸(ヨウ)の 態(タイ)なり。
優れた者を誹り、秀でた者を疑うのは、もとより世の中の凡人の態度である。
9月11日の新聞見出し
『自民総裁選、谷垣氏が立候補断念』
でした。