毛を吹いて隠れている小さな疵(きず)をもとめることで、やたらと人の欠点を暴こうとすることを表します。
『韓非子』大体篇に出ています。大体篇といいますのは、君主たる者の心得の大体として概要・要領を述べてある短編です。
智を以て心を累(わずら)はさず、
小賢しい知恵で心をわずらわすことがなく
私を以て己を累(わずら)はさず、
私欲によって自分を乱すこともなく
治乱を法術に寄せ、
国の治乱のことはすべて法と術にまかせ
是非を賞罰に託し、
是非の判別はすべて賞罰のきまりにゆだね
軽重を権衡(ケンコウ)に属し、
軽重の判断はすべてはかりの基準にまかせ
天理に逆(さから)はず、
自然の道理に逆らうことなく
情性を傷(やぶ)らず、
人の本性を害することもなく
毛を吹きて小疵(しょうし)を求めず、
毛を吹いて小さい傷を探し出すようなこともなく
垢を洗ひて知り難きを察せず。
垢を洗い落として分かりにくいものをはっきりさせるようなことはしない。