贅沢な上にも贅沢を求める人は、いくら裕福になっても、その心は貧しく、常に足りない足りないと感じるものである。『菜根譚』前集56條
奢者富而不足。
奢(おご)る者は富みて而(しか)も足らず。
贅沢な人は、いくら裕福になっても、心に満足することがない。
何如倹者貧而有余。
何ぞ倹(ケン)なる者の貧(ヒン)にして而も余りあるを如(し)かん。
つつましい生活をしている人で、いくら貧乏でも心に余裕のある人には及ばない。
能者労而府怨。
能ある者は、労して而も怨(うら)みを府(あつ)む。
また才能のある人は、いくら努力しても恨みを買うことが多い。
何如拙者逸而全真。
何ぞ拙(セツ)なる者の逸(いつ)にして而も真を全(まっと)うするに如(しか)ん。
才能に乏しい人が、いつも気楽でいながら、自然の本性を保っているのに及ばない。