【身体髪膚】は、ただ、からだ全体を言っているのではなく、このからだは全て両親から受け継いだものであるから大切にしなければいけないと言っているのです。
孔子と曾参(ソウシン)の問答を、曾参の弟子がまとめた『孝経:コウキョウ』に書かれている説明です。
もっと言うならば遠い祖先から連綿と受け継がれてきた命の具体化されたものが、いま自分の持っている【身体髪膚】なのです。だからこそ大切にしなければいけないのではないでしょうか。
これは私の独り言です。
【身体髪膚、之(これ)を父母(ふぼ)に受(う)く。
敢(あえ)て毀傷(キショウ)せざるは、孝(コウ)の始(はじ)めなり】。
少し長いですが、知る人ぞ知る成句です。
『孝経』はその第1章で【孝】とはこういうものですよと、孔子が曾参に説明しているところから始まります。
孔子が独りで座っていたところへ、曾参が来ました。孔子が言いました。
孝とは徳の本であり、教えによって生育されるものである。お前にその真意を教えよう。
そもそも我が身体、髪、皮膚、ありとあらゆるものは、父母より受けたるものである。
自分勝手に身体、髪、皮膚、などを傷つけてはいけない。それがそもそも孝の始めである。
成人して、人の道に外れない行ないをし、立身出世をして、名を後世に残し、人から敬われるようになりなさい。そうすることによって、ご両親の名を高からしむる事になります。
これが、孝の終わりである。
以上が『孝経』の謂わんとしているところです