多くの蟻が、なまぐさい肉に群がることから、私利私欲のために、利益のあるところに群がり集まることのたとえです。また、そういうことを卑しんで言う言葉です。
画数の多い字で構成されています。
「群」:君は「あつめる」ということばと音が同じであること、羊は群れを作って行動する所から
「むれる。むらがる」を表す字として「群」が出来ました。正字は「羣」です。
「蟻」:アリ
「附」:もともと「附」は「つ・く、くっつ・く」、「付」は「あたえる」と使い分けられていましたが、
現代表記ではどちらも付にしてしまいました。
「羶」:「なまぐさ・い」の意味です。
【群蟻(グンギ)羶(セン)に附(つ)く】は『荘子』徐無鬼(ジョムキ)篇にでています。徐無鬼というのは人の名前で、魏の隠士と言われています。
羊肉不慕蟻、
羊肉は蟻を慕(した)わざるも、
羊の肉は蟻を好むものではないが、
蟻慕羊肉。
蟻は羊肉を慕う。
蟻の方では羊の肉を慕って集まって来る。
羊肉羶也。
羊肉は羶(なまぐ)さければなり。
これは羊の肉が生臭いからだ。
書物としての『荘子』は、荘子(荘周)とその後学の人達の手になる、33篇だと謂われています。