口から出る言葉は蜜のように甘いが、腹の中には剣のように人を傷つける心をもっている、という意味です。口ではいかにも親切そうなことを言い、内心は陰険なことのたとえです。
唐:玄宗皇帝の宰相『李 林甫:リリンポ』に関しての言葉です。19年も宰相の地位にありました。
十一載、李林甫卒。
十一載、李林甫卒す。
天宝十一載(752年)に李林甫が死んだ。
林甫媚事上左右、迎合上意以固寵、杜絶言路、掩蔽聰明。
林甫、上の左右に媚び事(つか)へ、上の意に迎合し、以って寵を固くし、
言路を杜絶し、聡明を掩蔽(エンペイ)す。
林甫は玄宗の側近に取り入り、玄宗の意向に迎合して寵を固めた。
さらに臣下の奏上の路を断ち、帝の聡明を蔽い隠した。
・・・・・中略・・・・・
妬賢嫉能、排抑勝己。
賢を妬(ねた)み能を嫉(ねた)み、己に勝るものを排抑(ハイヨク)す。
賢者、才能あるものは(自分の地位を脅かすのではないかと)嫉妬の対象とし、
自分に勝る者は排斥されました。
性陰險。人以爲口有蜜腹有劍。
性陰険なり。人以って口に蜜有り腹に剣有りと為す。
人はその陰険なさまを、【口に蜜あり腹に剣あり】、と言いました。