人間が生きていくときに、余分なことを少しでも減らそうとすれば、その分だけ世俗の悩みから抜け出ることができる。という意味です。
人生減省一分、
人生、一分(イチブ)を減省(ゲンセイ)すれば、
人間が生きていくときに、余分なことを少しでも減らそうとすれば、
便超脱一分。
便(すなわ)ち一分を超脱(チョウダツ)す。
その分だけ世俗の悩みから抜け出ることができる。
如交遊減便免紛擾、
如(も)し交遊を減(ゲン)ずれば便(すなわ)ち紛擾(フンジョウ)を免(まぬが)れ、
友人との付き合いを少しでも減らせば、その分だけ気まずいいざこざから逃れることができ、
言語減便寡愆尤、
言語を減ずれば、便ち愆尤(ケンユウ)寡(すくな)く、
発言を少しでも減らせば、その分だけ過失を減少でき、
思慮減則精神不耗、
思慮を減ずれば、便ち精神(せいしん)を耗(コウ)せず、
思案するのを少しでも減らせば、その分だけ精神をすり減らすこともないし、
聡明減則混沌可完。
聡明を減ずれば、則ち混沌(コントン)完(まったく)す。
“かしこさ”を少しでも減らせば、その分だけ本来の心を全うすることができる。
彼不求日減而求日増者、
彼(か)の日に減ずるを求めずして、日(ひ)に増(ま)すを求むるは、
日々に余分なものを減らすように努めないで、
逆に日ごとに増やして行こうとするなら、
真桎梏此生哉。
真(まこと)に此の生を桎梏(シツコク)するかな。
まったく、自分で自分の一生を、束縛するようなものだ。