訓読は【天荒を破る】で、今まで誰もできなかったことを成し遂げることを表します。
前人未到の境地を切り開くことです。
【天荒】とは、①遠い果ての地、②未開の地、③人知の開けない地方、などの意味がありますが、
破天荒の場合は③の意味になります。
日本の文化庁が日本人を対象に実施した「国語に関する世論調査」によると、64.2%の日本人が「豪快で大胆な様子」という意味に誤解、あるいは誤用していることが判明しました。
中国・宋代の説話集『北夢瑣言:ホクムサゲン』の記述によりますと、
中国の唐代、王朝成立から100年以上経た後も、荊州(現在の湖北省)から官吏登用試験で
ある科挙の合格者が出ず、世の人はこの状況を「天荒」と称しました。
唐荊州衣冠藪澤、
唐の荊州(ケイシュウ)は衣冠(イカン)藪沢(ソウタク)、
荊州(現在の湖北省)には、官吏が大勢いました、
毎歳解送擧人、
毎歳(マイサイ)挙人(キョジン)を解送(カイソウ)するも、
毎年、郷試(州で実施する科挙の予備試験)に合格した挙人を都へ
送った(解送した)が、
多不成名。
多く名を成さず。
多くは都での試験には合格しなかった。
號曰、天荒解。
号して曰く、天荒解(テンコウカイ)と。
人々は、(荊州から送られてた受検者を)天荒解(不毛の地からの解送者)と呼んだ。
劉蛻舍人、以荊解及第。
劉蛻舎人、荊の解を以て及第す。
侍従の劉蛻(リュウゼイ)が、荊州から初めて科挙に合格すると、
號爲破天荒。
号して、天荒を破ると為す。
人々は『天荒を破る』と言った。