【一日(イチジツ)再(ふたた)び 晨(あした)なり難(がた)し。】
一日の間に、朝は二度とは来ない。時は一度過ぎ去れば二度とは帰ってこない。
ということから、人生の最も良い時期を失うことなく、充実した時間を過ごすようにすべきである。
陶淵明の詩の中でも有名なものです。特に最後の四句は人口に膾炙してきました。
ですが、意味を取り違え、歳月は人を待たないから、寸刻を惜しんで勉強すべしというふうに、解釈されることが多かったのですが、
それは【勉励】を、普通に言う勉強と受け止めたことの結果だろうと思うのですが、ここでいう勉励とは行楽に精を出すことをいうのです。
人生無根蒂,
人生 根帯(コンテイ)無く、 人生、根なし草
飄如陌上塵。
飄(ヒョウ)として 陌上(ハクジョウ)の塵の如し。 風に吹かれて、塵となる。
分散逐風轉,
分散して 風に逐(お)ひて転ずる、 散り分かれて、なすがまま。
此已非常身。
此れ已(すで)に 常の身に非(あら)ず。 我が身はどこへ、定まらず。
落地爲兄弟,
地に落ちて 兄弟(ケイテイ)と為(な)る、 人間みな兄弟
何必骨肉親。
何ぞ必ずしも 骨肉の親(しん)のみならん。 血のつながりは、なんのその。
得歡當作樂,
歓(カン)を得(え)ては 当(まさ)に楽を作(な)すべし、 喜び、楽しみ、共にせん
斗酒聚比鄰。
斗酒(トシュ) 比鄰(ヒリン)を聚(あつ)む。 チョット一杯、どうですか。
盛年不重來,
盛年 重ねて来らず、 若い時は、いまだけよ
一日難再晨。
一日(いちじつ) 再び 晨(あした)なり難(がた)し。 一日、朝は一度だけ。
及時當勉勵,
時に及んで 当(まさ)に勉励(ベンレイ)すべし、 学びの時は、今まさに
歳月不待人。
歳月 人を待たず。 歳月は人を待たず