たいした能力も無いのに、分不相応の地位に居てなにもしない、そのくせ多額の報酬を貰うこと。
また、その人、をいう四字熟語です。
【尸】は、象形文字です。死んで手足を伸ばした人を表しています。しかばねの意味を表します。
【尸位素餐】の中では、「形代(かたしろ)」の意味です。
「形代」といいますのは、祖先などを祀(まつ)るとき、その霊の代わりになる人。
祀られる人の子孫などが「形代」になるそうです。
【尸位】は、「形代」がその地位にいて動かないのと同じように、何もしないで、ある地位に居ることを
表しています。
【素】は、象形文字です。糸を染めるときの形で、糸を束ねて染めるとき、結んだところは
素(もと)の白いまま残ります。それを表す字が【素】で、しろぎぬ、しろ、もと、もとより、の
意味があります。
【餐】は、「歺+又+食」から構成されていますが、食部に属する形声文字で、のむ、くうの意味があります。
【素餐】、職務をおこたってただ報酬をもらっていること。また、功労や才能がないのに
高位高官にいることを表しています。
『漢書』朱雲伝に【尸位素餐】を用いて、朱雲が悪い大臣たちを糾弾する場面の記述があります。
朱雲は40歳を過ぎてから『易経』、『論語』を学び、人にも教えるほどになった人物です。
気力、知力、体力ともに兼ね備え、人々から尊敬されていました。あるとき皇帝に進言しました
『いま大臣たちは、やるべきことをやらず、みな【尸位素餐】しております。言ってみれば
税金泥棒です。 あそこにある、馬を斬る剣をお貸し下さい。一番悪い奴の首を刎ねます。
そうすれば、他のバカ大臣たちも、目が覚めるでしょう』
ときの皇帝、第11代成帝は『一番悪い大臣とは誰のことだ』と気色ばんで尋ねました
『宰相の張禹(チョウウ)でございます』
宰相の張禹は成帝の学問上の先生でもありましたので、
『張禹を辱めるとは!朱雲、お前を死刑にする』
朱雲は殿上から引きずりおろされますが、宮殿の檻(てすり)にしがみついて、
その檻(てすり)が折れてしまうほど必死で抵抗しましたが結局、牢屋に入れられてしまいました。
しかし、その場に居合わせた、ある人の死をかけた弁護のお陰で死刑にはならず、さらに又成帝の心も和らぎ、折れた檻は、皇帝を諫(いさ)める勇士をたたえる意味でそのまま、残されたそうです。
参考までに【折れた檻】が、いまの折檻(セッカン)の語源ですが、原義とは違った使われ方をしています。
問責決議の後、9月8日まで国会は休会しています。
でもその間、仕事してないのに議員には給料が支払われるのでしょうか。