『韓非子』の喩老篇の文章です。老子に喩えるということで、説話による主張を『老子』の語によって
重みを付けた、と言われています。
知之難、不在見人、在自見、
知の難きは人を見るに在らず、自ら見るに在り。
知ることの難しさは、他人を見抜くことではなくて、自分で自分を見抜くことである。
故曰、自見之謂明。
故に曰く、自ら見るをこれ明と謂う。
そこで、(老子は) 「自分で自分のことを見抜くことを『明』と言うのである。
志之難、不在勝人、在自勝。
志の難きは人に勝つに在らず、自ら勝つに在り。
志をつらぬくことの難しさは、他人に勝つことではなくて、自分で自分に勝つことである。
故曰、自勝之謂強、
故に曰く、自ら勝つをこれ強と謂う。
そこで、(老子は) 「自分で自分に打ち勝つことを『強』と言うのである。