堂々とした文章のたとえを言った言葉です。
『晉書』王珣(オウシュン)伝を出典としています。
【椽】は、木+彖(テン)から作られた形声文字です。意味は「たるき」です。
「たるき」は、屋根の裏板を支えるために、棟(むね)から軒(のき)にわたす材を
いいます。
角材のものは「桷:カク。たるき」、丸材のものが「椽:テン。たるき」の字が
あてられます。
また「彖」に「木」以外の別の部首をつけますと
「篆刻:テンコク」の「篆:テン」ができますし、
「縁もゆかりもない」の「縁:エン」は「緣」が正字体です。
晉の王珣(オウシュン)は文才があり、孝武帝(372年~396年)にも認められていました。
ある時、王珣は、人が自分に椽(たるき)ほどもある大きな筆を与えてくれた夢を見ました。
夢から覚めてある人に、『きっと堂々とした大文章を書くことがあるだろう』と、
言いました、
その後、孝武帝が崩御し、その崩御に際してのすべての文章を王珣が書いたそうです。
『晉書』王珣(オウシュン)伝の読み下し文です。
王珣、人、大筆の椽(たるき)の如きを以て之(これ)に与うるを夢見る。
既に覚め、人に語りて曰く、
此れ当(まさ)に、大手筆の事有るべし。
俄(にわ)かにして帝崩ず。
哀冊(アイサク)諡議(シギ)は、皆王珣の草する所なり。
今日11月26日は『ペンの日』です。
1935年(昭和10年)、日本ペンクラブが創立されたことを記念して1965年(昭和40年)に設けられた日です。ペンクラブのPENは、Pは詩人・劇作家、Eは随筆家・編集者、Nは小説家を意味しているそうです。初代会長は島崎藤村でした。