物事の区別がはっきりしない様子を表します。また入り乱れて明らかでない様子にも言います。
原義は天地がまだ開かれていない原初の状態を表現した言葉でした。
【渾沌】を二つ重ねて強調しています。
【渾渾】は【混混】とも書きます。
『孫子』の勢篇に【渾渾沌沌】が出ています。
紛紛紜紜(フンプンウンウン)として闘い乱れて、乱すべからず。
乱れに乱れた混戦状態になっても、指揮命令、乱れることはない。
【渾渾沌沌(コンコントントン)】として形(ケイ)円(まる)くして、敗(やぶ)るべからず。
収拾のつかない戦乱で、陣形が変化しても、敗れることはない。
乱は治に生じ、怯(キョウ)は勇に生じ、弱は彊(キョウ)に生ず。
治は乱に変わりやすく、勇は怯に変わりやすく、強は弱に変わりやすい。
治乱は数(スウ)なり。
乱れるか治まるかは、部隊の編成の問題であり
勇怯(ユウキョウ)は勢なり。
臆病になるか勇敢になるかは、勢いの問題であり
彊弱(キョウジャク)は形なり。
弱くなるか強くなるかは、軍の態勢(形)の問題である。
『孫子』は13篇ありましてこの勢篇は第五番目の篇です。言わんとしているのは
兵士個人の勇気で勝とうとするのではなく、軍全体の勢いによって勝利すべきである、と記述されています。
それには次のことを実施しなければいけないと、荘子は言っています。
① 軍の組織編成を確立させる、
② 指揮命令系統を確立させる
③ 変幻自在の戦い方に熟達すること
④ 敵の手薄を衝く戦法をとる。