人は本当に自分を知ってくれる相手の恩顧に感激し、その人の爲ならば自分の命さえ惜しまない。
手柄や名誉などは問題にするに足りない。『唐詩選』魏徴(ギチョウ)述懷詩
唐の高祖・李淵の厚い知遇と信頼を得た魏徴が、身命を賭して恩顧に報いようとする決意を表した、
5言20句の詩です。その中の最後の2句【人生意氣に感ず、功名誰か復た論ぜん】が有名になりました。
1)中原還(ま)た鹿を逐(お)ひ、
中原にまた鹿を追い、
2)筆を投じて戎軒(ジュウケン)を事とす。
仕事を辞めて、戦いに従事し。
3)縱橫の計 就(な)らざるも、
作戦、採用されずとも、
4)慷慨の志 猶(な)ほ存す。
昂ぶる気持ちは、依然として。
5)策(むち)を杖(つ)きて天子に謁(ヱツ)し、
軍馬のムチを手に持って、高祖・李淵(リエン)に拝謁し、
6)馬を驅(か)りて關門を出(い)づ。
(軍)馬に乗って、攻めに行く。
・・・・・・・・・・・・・・・・
~
~
・・・・・・・・・・・・・・・・
15)豈(あ)に艱險(カンケン)を憚(はばか)らざらんや、
艱難辛苦をはばからん、
16)深く國士の恩を懷(おも)ふ。
功臣国士の扱いに、恩義を感じ。
17)季布(キフ)に二諾無く,
季布の一諾、二言なし、
18)侯嬴(コウエイ)は一言を重んず。
侯嬴、一言に命を掛く。
19)人生意氣に感ず,
人生 意気に感じ、
20)功名誰(たれ)か復(ま)た論ぜん。
功名誰かまた論ぜん。