広く散らばって、あちこちに、はびこることを表します。良いことよりは、悪いことがはびこる時に使われるようです。
【衍】は、「行+氵(水)」から出来た会意文字です。「行」は道路のことです。道路にみずが溢れる
状態を表している字です。「はびこる」、「ひろがる」と言う意味があります。
【衍】の部首は水(さんずい)です。
【曼】は「冒(冃:頭巾+目)+又」から出来た会意文字です。目のところまで被る頭巾を又(右手)で
引っ張って目元の美しさを表しているそうです。又が付いていることで「引く」、「広がる」と言う
意味も持っています。
【曼】の部首は又です。
【衍曼】は、「エンマン」と発音する擬態語(状態を表す語)で、限りなく広がっていくことを表します。
【流】は、「水+㐬」から出来た会意文字です。人(子供)が水に流されている状態を表している
字です。流れているのは人だったんです。
【爛】は、「火+闌」から出来た形声文字です。意味は「ただれる」です。
【流爛】は、流れただれるということから、散り散りにながれて行くことを表します。
【衍曼流爛】の四字熟語は『史記』・司馬相如(シバショウジョ)伝に出ています。
『漢書』・司馬相如伝下にも同じ内容で記述があります。大変に長い文章ですので【衍曼流爛】の所だけ。
・・・衍曼(ひろが)り流爛(ちらば)り壇(あまた)にして陸離(ここかしこ)にあつまりあい、・・・。
司馬相如(B.C.179~B.C.117)は前・後漢400年通じて最高の文学者とされています。
寡婦(バツイチ)の美女卓文君(タクブンクン)と駆け落ちし、酒屋を一軒買い取り卓文君は店に出て、
司馬相如は犢鼻褌(ふんどし)一つで皿洗い、なんてことも歴とした正史『史記』、『漢書』にかなりな
分量で「伝」を立てられています。
司馬相如はどもる癖があったそうですが、文章は天下に並びないほど優れたものでした。
司馬相如の死後、誄(ルイ:亡き人を悼む文)を書いたのは愛妻の卓文君で、世間に評判の名文でした。
歴史に刻めるほどの麗しい夫婦愛です。