人が年に応じて、愼むべき戒めのことです。
若いときは、色欲を、壮年期は、闘争欲を、老年期には、物欲を戒めよとの教えです。
論語によく出てきます『君子』、『小人』の現代版定義は、
『小人』 知識人。 知識はあるが、教養に欠ける人。
『君子』 教養人 知識もあり教養もある立派な大人。
現在、論語研究の第一人者である、大阪大学名誉教授の加地伸行先生の定義です。
孔子曰、君子有三戒。
孔子日く、君子に三戒有り。
孔子が言いました、
君子を目指そうとする人は、それぞれの時期にあたって警戒すべき
三つの事があります
少之時、血気未定、戒之在色。
少(わか)き時は血気未だ定まらず、之を戒むること色に在り。
若い時は、血の気のまだ定まらない時期なので、とかく情に動かされやすい。
なかんずく、男女の色恋については充分戒めなければいけません。
及其壯也、血気方剛、戒之在鬪。
其の壮(さか)んなるに及んで血気方(まさ)に剛(ゴウ)なり、
之を戒むること鬪(トウ)に在り。
年30もしくは40になると人間の血気も強くなり、自己の主張も強くなり、
争いの起こる時でもあるので、この時期の人は、特に他と争い闘うことを
戒めなければいけません。
及其老也、血気既衰、戒之在得。
其の老(お)ゆるに及んでは血気既に衰(おとろ)う、
之を戒むること得るに在り。
老年になって来ると、人間の血気がすでに衰え、安逸を得ようとする心が
盛んになってきます。安逸はお金を沢山持っていると得やすくなります。
ですから老年の人は特に物欲への戒めが必要になります。