精神より迸(ほとばし)り出る志気には老年と青年との間に違いは無い、という意味で『言志後録』243条の一文です。全文を記載しました。
血気には老少有りて、志気には老少無し。
人間の体力から発する血気には老人と青年とは大きな違いがあるが、
精神より迸(ほとばし)り出る志気には老年と青年との間に違いは無い。
老人の学を講ずるには、当に益々志気を励して、少壮の人に譲る可からざるべし。
だから老人が勉学するには、益々志気を励まして、
青少年や壮年の人達に負けてはならぬ。
少壮の人は春秋に富む。
少壮の人達は前途の春秋に富んでいる。
仮令(たとい)今日学ばずとも、猶(な)お来日の償(つぐな)う可き有る容(べ)し。
たとい、今日学ばずとも、これから先に償うべき年月がある。
老人には則ち真に来日無し。尤も当に今日学ばずして来日有りと謂うこと勿るべし。
然し老人には取り返す年月は無いのだ。
だからなお更、今日学ばずとも、明日があるさ、などと言ってはいけない。