よく効く薬は、苦くて飲みにくい、という意味から自分のためを思ってくれる忠告は、聞くのは辛いが、自分の身にはなるということです。初出は『韓非子』外儲篇です。
夫良藥苦於口、
夫れ良藥は口に苦(にが)し、
そもそも良薬は口に苦い。
而智者勸而飲之、
而(しか)るに智者の勸(つと、=勧)めて之(これ)を飲むは、
それなのに知者は努めてそれを飲むが、
知其入而已己疾也。
其の入りて己(おのれ)の疾(やまい)を已(や)むるを知ればなり。
それは、体内に入って自分の病気を治すことがわかっているからである。
忠言拂於耳、
忠言は耳に拂(さか)らう。
忠言は耳に逆らう。
而明主聽之、
而るに明主の之を聽くは、
それなのに賢明な君主はそれに耳を傾けるが、
知其可以致功也。
其の以て功を致す可(べ)きことを知ればなり。
それは、実際に効果をもたらすことがわかっているからである。
韓非子以外では
『史記』に、 毒藥苦口利於病。・・・・・・・毒藥は口に苦けれども、病に利あり。
『説苑』に、 良藥苦於口、利於病。・・・・・良藥は口に苦けれども、病に利あり。
『孔子家語』に、 藥酒苦於口而利於病。・・・・・藥酒は口に苦けれども、病に利あり。
となっていました。