男女の情愛の深く睦(むつ)まじいことのたとえを表します。相思相愛の仲。夫婦、仲の良いたとえを言います。
白居易(ハクキョイ:772年~846年)の『長恨歌:チョウコンカ』の中で詠われている言葉です。
白楽天は字です。
「長恨歌」は、唐代の玄宗皇帝と楊貴妃のエピソードを詠った七言古詩で、
「漢皇(カンコウ)色(いろ)を重んじ傾国(ケイコク)を思う」
から始まる 120句の長編詩です。白居易34歳の時の作品です。
平安時代以降の日本文学にも多大な影響を与えました。
『源氏物語:桐壺の巻』の桐壺帝と桐壺更衣の悲恋の描写は、『長恨歌』を髣髴(ホウフツ)とさせると言われています。当時の貴族のよく知る『長恨歌』のエピソードを、紫式部は上手く物語に取り入れました。
また『枕草子』では、『長恨歌』の中の一句
「梨花(リカ)一枝(イッシ)春(はる)雨(あめ)を帶(お)ぶ」
から「梨の花の美しさは中国でも絶賛されていた」と文中に取り入れています。
「長恨歌」の117句目と118句目に、バラバラですが【比翼】、【連理】が出てきます。
原文 読み下し文と口語私訳
115) 七月七日長生殿 七月七日 長生殿
七月七日の長生殿
116) 夜半無人私語時 夜半 人 無く 私語の時
誰もいない真夜中の、囁く言葉は愛の歌
117) 在天願作比翼鳥 天に在りては 願はくは 比翼の鳥と 作(な)り
天に在ってのお願いは、比翼の鳥になることで
118) 在地願爲連理枝 地に在りては 願はくは 連理の枝と 爲(な)らん
地に在ってのお願いは、連理の枝となることを
119) 天長地久有時盡 天 長(テンチョウ)地 久(チキュウ) 時 有りて 盡(つ)く
天地は永く続くとも、いづれは尽きる時もこそ
120) 此恨綿綿無絕期 此の 恨みは 綿綿として盡くる期(とき) 無からん
この悲しみは綿々と、絶えることなく続かんか。
覚めた目でみますと、【比翼連理】は奇形の鳥であり、樹木なんです。そんなのに譬えられてもなア・・・。
「長恨歌」は当代の皇帝についてのお話を、遠慮して漢の時代の出来事にしています。
我が国の『仮名手本忠臣蔵』も元禄ではなく、室町のときの出来事にしています。
毎月22日は「夫婦の日」とか。
【妻が一番】・・・と、自分によく言って聞かせています。