自分にふりかかった災いを上手く利用して、逆に自分に有利になるよう工夫することを言います。
中国の戦国時代後半、秦が中国を統一する50年ほど前、秦以外の6国が蘇秦(ソシン:)の唱えた合従策で結ばれていました。ところが蘇秦の同級生・張儀(チョウギ:)によって6国の仲間割れが起こります。
斉という国が張儀にそそのかされて同盟国燕の城を10城奪ってしまいます。城を奪われた燕王は蘇秦を詰(なじ)ります。
「そなたを信じて合従したのに、同盟国の斉が、我が燕に侵攻してきた。
燕は天下の笑い者になった。奪われた10城をどうしてくれるのだ」
これに対して蘇秦は大いに恥じて言いました。
「王のため必ず取り戻してご覧にいれます。どうかお任せください」
斉王に謁見した蘇秦は、まず戦勝を祝福したかと思うと、すぐ続けて悔やみの言葉を述べました。
斉王が怒ると、蘇秦はいろいろと屁理屈(へりくつ)を並べたて、10城を燕に戻すメリットを解き明かします。
その時のセリフの一つが 【禍(わざわい)轉じて福と爲す】です。
臣聞く、古の善く事を制する者は、禍を転じて福と為し、敗に因りて功と為す。
私は聞いています、昔から、よく事を制する者は、禍を転じて福となし、
失敗によってよく功をなす。
結果、斉王は奪った十城を還し、斉と燕は再び親交を結びました。メデタシ、メデタシとなります。
ですが、50年後、合従を結んでいた6国はことごとく秦によって滅ぼされ、秦の中国統一となります。
以上は『史記』蘇秦列伝のお話でした。同様の話は『戦国策』燕策にも出ています。