【老成人(ロウセイジン)を侮(あなど)ること勿れ。】は、『言志耋録:ゲンシテツロク』158条の一文です。
無侮老成人。
老成人(ロウセイジン)を侮(あなど)ること勿れ。
世の中の経験を積んだ老人を馬鹿にしてはならぬ。
無弱孤有幼。
孤有幼(コユウヨウ)を弱しとすること勿れ。
また、孤子や幼子を弱いからといって軽視してはならぬ。
眞是盤庚明戒
真に是れ磐庚(バンコウ)の明戒(メイカイ)なり。
『書経:ショキョウ』磐庚篇にある、磐庚王が殷に遷都するときに言った、
誰にも明らかな戒めである。
今之才人
今の才人(サイジン)
今の大人たちは
往往侵此訓
往々(オウオウ)此(こ)の訓(おしえ)を侵(おか)す。
しばしばこの訓戒を侵している。
可警也。
警(いまし)む可(べ)きなり。
警告したい。
『言志耋録』のはしがきをご紹介します。
自分は今年八十歳になったが耳も目も酷く衰えるまでには至っていない。何と言う幸いな
ことであろうか。一息でも有る限り、学業をやめるべきではない。一条ずつ書いていたら
一編となった。これを耋録(テツロク)と呼ぶこととした。
嘉永辛亥(1851年)夏五月 一斎老人自ら書き記す。