善いことを勧め、悪いことを懲らしめることを表す四字熟語です。
春秋時代、孔子(B.C.552年~B.C.497年)が生まれた魯(ロ)という国の年代記を『春秋』といいます。
『春秋』の解説書の一つが『春秋左氏伝』といいます。その『春秋左氏伝』の成公14年(B.C.577年)の記事の最後のところで、『春秋』そのものの記載方法を讃えて次のように書いています。
『春秋』は簡単な文章の中にも深い意味を持たせ、婉曲な表現でも趣旨は明確であり、
事実を曲げること無くありのままに記述している。
【悪人を懲らしめて善人を勧め励ましている】のは、
孔子のような聖人でなくて誰がこのように立派に作り上げることが出来ようか。
『春秋』を孔子が書いたかどうかは定かではないようです。
さらに時代が下りまして、
前漢の張敞(チョウショウ)が膠東(コウトウ)地方の大臣として大いに成果を上げました。
膠東に赴任する前に宣帝(B.C.74~B.C.49)に対して述べた治政の抱負の中に【勧善懲悪】が
使われていました
劇郡(ゲキグン)を治むるは、賞罰に非(あら)ずんば、以て善を勧め悪を懲らす無しと。
治めにくい郡を治めるには、賞罰を明らかにしなければ、
善を勧め悪を懲らすことができないと言いました。
日本では、【勧善懲悪】小説というイメージで、この四字熟語が知られています。
純文学とは遠い位置にある、小説のスタイルです。
【すす・める】にもいろんな【すすめ】かたがあります
勧める:何かをさせようと働きかける。 入会を勧める
薦める:採用・採択を働きかける。 推薦する。
進める:前の方へ行かせる。 前進する。
奨める:勧と同じような使われ方です。 勧奨
善いことを勧め、悪いことを懲らしめる、「勧善懲悪」は、全世界に共通する考えではないでしょうか。
決して古い考えではありません。
これを承知しない親がいるから、またじっくりと教えないから、「いじめ」が起こるのではないでしょうか。
と私は思います。
また
人のものを自分のものと言うのは、さらに実行するのは、大変に悪いことです。
悪いことだということを教えて、その上で罰しなければいけません。世界共通の倫理観です。
これは私の思い込みです。