物事には大事と小事があって、その取扱いによって、人の器の大小も推察できるということを、佐藤一
斎先生は『言志後録』190条で記述しています。
事に大小有り。
物事には大事と小事がある。
常に大事を斡旋する者は、小事に於ては則ち蔑如(ベツジョ)たり。
常に大事を取り扱っておる者は小事を軽く見る。
今(いま)人(ひと)毎(つね)に小事を区処(クショ)し、済(な)し得る後自ら喜び、
今ここに人があって、常に小事を区分処理し、それを成し終わるや、自ら喜び、
人に向って誇説(コセツ)す。
人に向かって自慢話をする、
是(こ)れ其の器(うつわ)の小なるを見る。
これはその人の器が小さいことを示すものである。
又是(こ)の人従前(ジュウゼン)未だ曽かって手を大事に下さざりしを見る。
この人は、これまでに一度も大事を手がけたことのないことを示すものだ。