昨日は満月、「十五夜」でした。また11年振りの皆既月食でもありました。今日は「十六夜月:いざよいづき」です。
今回の月食は、 9時45分頃、左から欠け始め、11時5分前後、斑入りの赤茶色の皆既食となりました。ピークの頃は感動すら覚えました。すぐ真下というか南というか、オリオンがクッキリと三つ星のベルトを締めていました。寒さの我慢もこれまで、あとは有明の月へと回復していくのでしょう。観月中止。そそくさと部屋に戻ります。
「十六夜」を過ぎますと、17日目・立待月(たちまちづき)。18日目・居待月(いまちづき)。19日目・寝待月(ねまちづき)。20日目・更待月(ふけまちづき)、と変化していきまして、23日目ころの月を「下弦(かげん)」といいます。その後三日月の反対形を経て、30日目・三十日月(みそかづき)、となります。この月は「晦:つごもり」とも言います。「つごもり」は「月隠:つきごもり」が変化したものと言われています。月の光が隠れて見えなくなる頃の意味のようです。また「十六夜月」以降の月は、夜が明けてもまだ沈まず、西の空に残っている様子から、「有明の月」とも呼ばれて、和歌などによく詠まれています。 『百人一首』には4首あります
今来むといひしばかりに長月の有明の月を待ち出でつるかな 素性法師
有明のつれなく見えし別れより暁ばかりうきものはな 壬生忠岑
朝ぼらけ有明の月と見るまでに吉野の里にふれる白雪 坂上是則
ほととぎす鳴きつる方を眺むればただ有明の月ぞのこれる 後徳大寺左大臣
兎の餠つきと見ていたお月さんを、古代中国では薬草を搗(つ)く兎「玉兎:ギョクト」と見ました。「銀蟾:ギンセン」は「ヒキガエル」のことです。
伝説の弓の名人羿(ゲイ)がある時、褒美として不老不死の妙薬をもらいました。これを見た羿(ゲイ)の妻・嫦娥(コウガ)がその薬を持ち逃げし、自分で飲んでしまい仙人になってしまいました。嫦娥は蝦蟇(ヒキガエル)に姿を変えて月に昇りました。これが「銀蟾:ギンセン」です。
四字熟語の「玉兎銀蟾:ギョクトギンセン」は、「玉兎」と「銀蟾」と言うそれぞれも月を表す熟語ですが、さらにそれらを合成してできた月の異称です。