今 『令和』の御代、人生百年時代。
盛唐の詩聖、杜甫の時代は、【人生七十 古來稀(まれ)なり】のようでした。
杜甫の人生は、712年(先天元年)~770年(大暦五年)の58年でした。
『曲江二首』の其二に、【人生七十古來稀】が詠われています。七言律詩。杜甫46歳の時です。
朝囘日日典春衣、 朝(チョウ)より囘(かへ)りて 日日(ひび)に春衣を典(テン)し、
朝廷から帰ると、毎日のように春着を質に入れ、
毎日江頭盡醉歸。 毎日 江頭に醉(ゑ)ひを盡(つ)くして歸る。
毎日、曲江のほとりで泥酔して帰る。
酒債尋常行處有、 酒債(シュサイ) 尋常(ジンジョウ) 行く處に有り、
酒代の借金はあたりまえ 行く先々にある、
人生七十古來稀。 人生七十 古來稀(まれ)なり。
人生、七十 もとより稀なこと。
穿花蛺蝶深深見、 花を穿(うが)つ 蛺蝶(キョウチョウ)は 深深として 見え、
花を飛びかうアゲハチョウは、奥のほうに見え、
點水蜻蜓款款飛。 水に點(テン)ずる 蜻蜓(セイテイ)は 款款(カンカン)として飛ぶ。
水面を叩くトンボは、ゆるやかに飛ぶ。
傳語風光共流轉、 風光に傳語(デンゴ)す 共に流轉(ルテン)しつつ、
自然に対して言づてしたい、ともに流れて行くのだから、
暫時相賞莫相違。 暫時(ザンジ)相ひ賞して 相ひ違(たが)ふこと莫(な)からん。
暫しの閒、愛であって、互いに背くことのないように。