人と仲良くするが、いたずらに同調するようなことはしない、ということを表す四字熟語です。
【和して同ぜず】と訓読みします。
出典は『論語』子路篇です。
子曰く、君子は和して同ぜず。小人は同じて和せず。
分別のある大人は、人と協調しても矢鱈と付和雷同することはしない。ところが
雑魚どもはすぐに群れたがり、協調することはしない。
子路篇のこの章は漢字14字、【子曰、君子和而不同、小人同而不和、】の短い文章ですが、言っていることは的確でキビシイ。
【和】は、違う心を持った人が、心から打ち解けて友となることです。
【同】は、ほんのうわべだけの友達となることです。
孔子は君子の交わりを求め、小人の交わりを軽蔑しています。
【和】と【同】との違いについて、『春秋左氏伝』昭公二十年(B.C.522年)の事として、
晏嬰(アンエイ:?~B.C.500年)が上手い例え話で解説しています。
【和】と言いますのは、羹(あつもの:スープ)を作るようなものです。
水と火と、醋(す)・醢(ひしお)・塩・梅とを用いて魚や肉を煮込み、薪で熱を加えて
宰夫(サイフ:調理官)がこれを調和して美味しいスープを作ります。
【同】と言いますのは、水に水を足すようなもので、誰が美味しいと言って食べますか。
琴(キン:13弦)と瑟(シツ:おおごと)が同じ音ばかり出していたならば、誰が聞く
気持ちになるでしょう。
お話としては晏嬰の方が古いんじゃないかと思います。
昭公二十年(B.C.522年)の話としますと、その時孔子(B.C.552年~B.C.479年)は三十歳で、塾を開いたと言われていた頃です。
【和して同ぜず】とお弟子さん達と話していたのは、恐らく開塾後のことと思われます。
『三党合意』とは、さしずめ【同じて和せず】とでも言うんでしょうか、よく分かりません。