身寄りのない、頼る者のない、そんな状態を言います。四文字が各個独立しているのを四つならべた形ですので、本来の四字熟語(故事来歴のある四文字の文章)とは違うかもしれません。
【鰥:カン】は、年老いて妻の無い男性。
【寡:カ】は、年老いて子の無い女性
【孤:コ】は、幼くして親の無い子
【独:ドク】は、年老いて子の無い人
をそれぞれ表しています。
『孟子:梁(リョウ)惠王(ケイオウ)下』には、【鰥寡孤独】の人達のことを真っ先に考えました、という記述があります。
老いて妻無きを鰥と曰ひ、老いて夫無きを寡と曰ひ、老いて子無きを独と曰ひ、
幼くして父無きを孤と曰ふ。
年を老(と)って妻がいない人を鰥夫(おとこやもめ)といいます、
年を老(と)って夫がいない人を寡婦(やもめ)といいます、
年を老(と)って頼る子供とてない人を独夫(ひとりもの)といいます、
幼くして親を亡くした子供を孤児(みなしご)といいます。
此の四者は天下の窮民(キュウミン)にして告ぐる無き者なり。
この人達は、この世で最も困っている身寄りのない気の毒な人達です。
(周の)文王は政を発して仁を施すに、必ず斯(こ)の四者を先とす。
そこで文王が仁政を行うにあたって、これらの気の毒な人達を救うことを
真っ先に考えました。
日本で833年(天長10年)に淳和天皇の勅によりまして、令の解説書である『令義解(りょうのぎげ)』が作られました。
この中に、日本版【鰥寡孤独】の具体的な解説が記載されているそうです。
「鰥」とは61歳以上のやもめ(妻を亡くした夫)、
「寡」とは50歳以上の未亡人、
「孤」とは16歳以上で父親のいない子供、
「独」とは61歳以上で子供がいない者を指した
更に、① 鰥寡孤独のうち、生活が困難な者に対しては三親等以内の者に対して扶養義務を課し、
② それが不可能な場合には地域で面倒をみること、
また ③ 賑給(支給)に際しては高齢者とともに支給の優先対象とされていた。
そうです。
ホント何でしょうか。今の生活保護と変わらないような内容ですよね。約1200年前の話です。