【少年老い易く学成り難し】で始まるこの漢詩は、長く朱熹(朱子)の「偶成」であるとされていました。
しかし、平成年代に入ってから、何人かの専門家の方によって、朱熹の作ではないということがはっきりしてきたようです。
いろいろな説があるようですが、比較的可能性が高いのが、日本の禅宗のお坊さんの手によるものだ、ということだそうです。
少年易老學難成
少年老い易く学成り難し
若いときは、時の経過が早く、いつのまにか年老いてしまい、
その割に、学業は成就しない、
一寸光陰不可輕
一寸の光陰軽んずべからず
わずかな時間でも、軽く見てはいけない。
未覺池塘春草夢
未だ覚めず池塘春草(チトウシュンソウ)の夢
池のほとりの夢がまだ覚めないうちに、
階前梧葉已秋聲
階前の梧葉(ゴヨウ)已(すで)に秋声
庭の青桐の葉は、はやくも秋風に吹かれて散っている。
朱熹のすごいのは、18歳の時に作ったといわれている『勧学文』です。
勿謂今日不學而有來日、
謂ふ勿(なか)れ、今日學ばずして、來日有りと。
謂うんじゃない、今日、学ぼうとしないで、明日があるさ。
勿謂今年不學而有來年。
謂ふ勿(なか)れ 今年 學ばず 而(し)て 來年 有りと。
謂うんじゃない、今年、学ぼうとしないで、来年があるさ。
日月逝矣歳不我延,
日月(ジツゲツ)逝(ゆ)きぬ、歳(サイ)我と延びず,
月日が過ぎていった、歳月は延ばしてもらえない。
嗚呼老矣是誰之愆。
嗚呼(アア) 老いたるかな 是れ誰の愆(あやまち)ぞや。
ああ、年をとってしまった、是は一体誰のセイよ。