【朝(あした)に令(レイ)して暮(く)れに改(あらた)む】と訓読みされまして、命令、政令などが頻繁に変更されて一定しないことを表す四字熟語です。
我が国の元首相、衆院予算委員会で、「朝三暮四の意味を知っているか」と尋ねられ、「よく知ってます」、と前置きした上で「朝令暮改」の意味を説明して、とんだ赤っ恥をかいたそうです。
前漢(B.C.202~A.D.8)の文帝(B.C.180~B.C.157)の時、地主や商人の勢力が強くなって、多くの農民が疲弊してしまう状態が発生しました。
このような深刻な情勢にあたって御史大夫(ギョシタイフ:官吏を監察する仕事)の地位にあった晁錯(チョウソ)が文帝に上書した文章の中に 【朝令暮改】が出てきます。
勤苦此(かく)の如くなるに、尚(な)ほ復(ま)た水旱(スイカン)の災(わざはひ)あり、
急政暴賦(ボウフ)、賦斂(フレン)時ならず、
【朝(あした)に令して而(しか)も暮に改む】。
農民たちの生活は、このように苦しいものであるうえに、水害や干害にも見舞われ、必要以上の
租税を臨時に取り立てられ、
【朝出された法令が、夜には改められている】
といった有様です。
晁錯は上書のあと、「納粟(ノウゾク)受爵(ジュシャク)制度」といいまして、穀物をある一定以上納めた者に爵位を与えるという制度を提案しました。
この「納粟受爵制度」で、商人は爵位を求めて穀物を買い漁り、その結果農民の手元に多くの金銭が入るようになったそうです。
8月4日の新聞見出しは
【消費増税法案「10日に採決」 首相、輿石幹事長に指示】
です。
「税と社会保障の一体改革」とか言われての消費増税のようでしたが、実情は公共事業の増額にあてられるかもしれない、とも言われています。
現代版【朝令暮改】なのでしょうか。