やたらと人の欠点を暴(あば)こうとすることを表す四字熟語です。
人のあらを探しているうちに、かえって自分の欠点も暴露されてしまうことになることを表しています。
【毛(け)を吹(ふ)いて疵(きず)を求む】と訓読されます。
『韓非子』五十五篇の内の大体篇に【吹毛求疵】が出ています。
大体篇といいますのは、君主たる者の心得の概要・要領を述べている短編です。
人間の社会は大自然の一部に過ぎないのだから
① 小知によって心を乱すこと無く
② 私情によって身を煩(わずら)わさず
③ 国の政治は法と術にまかせ
④ 人の良否は賞罰で報い
⑤ 物の軽重ははかりで決め
⑥ すべて自然の理に逆らわず
⑦ 人の本性をゆがめず
【ことさらに毛を吹きわけて隠れたきずを見つけるようなことや、垢を洗い落として、
表に見えなかったものを、暴露するようなことはしない】
ということが記載されています。
【垢を洗い落として、表に見えなかったものを、暴露するようなことはしない】の部分は『後漢書』に【洗垢(センコウ)索瘢(サクハン)】と記載されているのと同じ趣旨のことです。
こちらは【垢(あか)を洗ひて瘢(きず)を索(もと)む】と訓読みします。
ある大都市の市長の過去を穿(ほじく)り返して、あわよくば潰(つぶ)してしまえ、というやり方は
2000年來の「政争の具」の最たるもののようです。