思いもかけない出来事。 突発的事件、変事がおこることの譬(たとえ)として使われる四字熟語です。「晴天」は晴れた空、「霹靂」は急に激しく鳴る雷のことです。本来の意味は筆勢がのびやかで躍動的であることのたとえを表すものでした。
出典は南宋の代表的詩人陸游(リクユウ)の 『四日夜鷄未だ鳴かざるに起きて作る』の詩です。 【読み下し文】とそれに続けて【私訳】を掲げてみました。
【読み下し文】
放翁(ホウオウ)病みて秋を過ぎ
忽(たちま)ち起きて酔墨(スイボク:酒に酔って書いた詩文)を作(な)す
正に久蟄(キュウチツ:久しくこもる)の竜の如く
青天に霹靂を飛ばす
怪奇(カイキ)に堕(ダ)すと云うと雖(いえど)も
要は常の憫黙(ビンモク:沈み悲しむ)に勝(た)えたり
一朝此の翁死すれば
千金求むるも得ず
【私訳】
放翁(陸游の号)、病に過ごす今秋の
ふと起きて、酔いに任せて筆をとる
隠れし龍の昇天に
晴天に飛ぶ霹靂か
怪しの詩(うた)と言うなかれ
見過ごされてはなるものか
ある朝放翁死するなら
千金積むとも得(う)べからず
米国のジャズ部門、カナダのワールドミュージック部門でそれぞれ1位を獲得した、由紀さおりさん
「43年あきらめないで歌ってきたらこういうチャンスが巡ってきて、腰が抜けそう」
「この力の抜けた感じが向こうにはなかったんじゃないかしらね」
「一番驚いているのが、あたし」
まさに「晴天の霹靂」でしょうか。
因みに「霹靂」の「レキ」の字は、雨の下は「歷」です。厂の中は禾禾+止です。お間違えのないように。爲念(ねんのため)。