あらゆる薬の中で、最もよく効くすぐれた薬である、と酒を称賛した四字熟語です。
B.C.202年、劉邦(リュウホウ)が興(おこ)した漢王朝は、およそ四百年中国に君臨しました。ただし、ちょうど中頃、B.C.8年~A.D.23年、「新」という王朝に取って代わられました。
「新」を建国したのは、漢の元帝(B.C.48年~B.C.33年)の皇后の甥にあたる王莽(オウモウ)です。
王莽が施行した政策の一つに、「五均:ゴキン)」「六管:ロッカン)」があります。
「五均」は国家による物価統制、「六管」は酒・塩・鉄・銭の鋳造・名山・大沢(ダイタク)を国家が管理するというものです。
『漢書・食貨志下』に王莽が発した詔として次の文章が記載されています。
夫鹽食肴之将
夫(そ)れ鹽(しお)は食肴(ショクコウ)の将、
そもそも塩は食物に最も大切なもので、
酒百薬之長、嘉會之好。
酒は百薬の長、嘉會(カカイ)の好なり。
酒は多くの薬の中で最もすぐれており、祝いの席に欠かすことは出来ない。
鐵田農之本
鐵(テツ)は田農の本(もと)、
鉄は農耕の基本であり、
名山大澤饒衍之臧。
名山(メイザン)大澤(ダイタク)は饒衍(ジョウエン)の臧(ゾウ)なり。
名山や大きな湖沼は、豊饒(ほうじょう)な蔵である。