国中に匹敵する者がいないほどすぐれている人物を言います。極めて優れた人物を言います。
【国士無双】の出典は、『史記・淮陰侯(ワイインコウ)列伝』です。淮陰侯と言うのは、「背水の陣」、「韓信の股くぐり」で知られている韓信です。
漢王の元年(B.C.207)、都を南鄭(ナンテイ)に遷すとき、十数名の諸侯が逃亡する事件がありました。
自己の才能に自負することの大きかった韓信は、治粟都尉では満足できず、あいつぐ逃亡兵にまじって、韓信も逃げだしてしまいました。
韓信逃亡の報せに、蕭何(ショウカ)は劉邦(リュウホウ)に告げる間もなく後を追いました。
それを見たある人が「丞相の蕭何が逃げました」と劉邦に報告しました。
劉邦の怒りは並のものではありませんでした。
ところが、二日ばかりたって、蕭何は帰ってきました。
「何故、逃げた」
「逃げたのではありません、逃げた者を追いかけたのです」
「誰を?」
「韓信です。」
「韓信? いままでに、諸侯の逃亡した者は十数名を越える状態だ。
お前はそのうちの一人だって追いかけたことがあるのか。
名もない韓信にかぎって追いかけたとは。嘘をつくな!」
諸將易得耳、至如信者、國士無雙。
諸将は得(え)易(やす)きのみ、(韓)信のごとき者に至りては、【国士無双】なり。
いままで逃亡した諸侯ぐらいの人物でしたら、いくらでも見つけ出せます。
韓信は国士無双と称すべき人物です。
王必欲長王漢中、無所事信。
王、必ず長く漢中(カンチュウ)に王たらんと欲せば、信を事とする所無し。
殿が、巴蜀(ハショク)の地だけで満足なさるのでしたら、
韓信という人物は必要ありません。
必欲爭天下、非信無所與計事者。
必ず天下を争そわんと欲せば、信に非ざれば、与に事を計る所の者無し。
殿が、天下を望まれるのでしたら、韓信は是非とも必要です。
側に置いておかなければいけません。
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